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科学 話題

【2016年ノーベル賞・日本人】本庶、前田、松村の3氏が有力?【がん治療・EPR効果】

2017/01/30

9月21日、米文献情報会社「トムソン・ロイター」にて、ノーベル賞有力候補者の予測が発表されました。

医学生理学、物理学、化学、経済学の4賞で24人があげられ、日本人は医学生理学で本庶佑(ほんじょたすく)・京都大客員教授(74)、化学で前田浩・崇城大特任教授(77)と松村保広・国立がん研究センター新薬開発分野長(61)の3氏が選出されました。

本庶氏は、免疫細胞の働きを抑制する作用のある分子「PD1」を発見し、この働きをコントロールすると免疫細胞によるがんへの攻撃が再活性化し、抗がん治療になることを突き止めた業績をあげられたようです。

前田、松村氏は、「EPR効果」と呼ばれる、がん組織に高分子が長くとどまる性質があることを突き止め、この効果を制御し、高分子薬剤をがん組織に選択的かつ効率的に作用させることを可能としたようです。

参考: http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160921-00000075-mai-sctch

 

 

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図. 上から 本庶、前田、松村の3氏

 

いずれの日本人候補者も、抗がん・がん治療法への有益な情報を提供する業績をあげられたようですね。

手術などで切除しにくい腫瘍への攻撃や、正常な細胞・組織を傷つけない様ながん治療法が求められる中、免疫細胞の活性化を制御してがん細胞を効果的に攻撃させたり、選択的に高分子薬剤を効率的にがん細胞へ送り込んだりするような、患者にダメージを与えにくい治療法を開拓するスタートを見つけたということで、非常に有用で素晴らしい研究が成されていると感じます。

いずれの研究内容にも興味がありますが、特に後者のEPR効果は、選択的に薬剤ががん細胞へ送り込まれることを可能にしたという内容で、過去の私の研究(背景内容にあたりますが)と近いものがあって興味があるので、こちらについて少し調べてみることにしました。

 

 

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EPR効果とは?

近年になり登場したポリマー結合薬剤, 薬物抱合リポソーム/ミセル, PEGその他ポリマー修飾タンパク質や抗体, 更に遺伝子までも包含する高分子型薬剤は, 固型癌に対する選択的なターゲッティングが可能になるという点で注目が集まっている. これらの高分子型薬剤は, 固型腫瘍に特有の血管構築を利用することで, 腫瘍選択的なデリバリー/ターゲッティングが可能となる. 我々は, 1986年にこの腫瘍への選択的なデリバリーのための共通な現象(機序)を発見し, それをenhanced permeability and retention effect(EPR効果)と名付けた.

引用: http://med.m-review.co.jp/magazine/detail1/J25_9_4_83-95.html

EPR効果自体が発見された(命名された)のは、1986年と結構昔のことなのですね。

腫瘍の形態によって血管構築等の特性が変化しており、固形がんの場合には上記高分子が集積されやすい状態にあるようですね。

流動性がある(がん細胞の形に柔軟性がある)ような、例えば脳腫瘍の場合には適用できるのでしょうかね。

 

EPR効果の重要な点は, 腫瘍に対する単なるパッシブターゲティングだけでなく, 腫瘍組織へひとたびデリバリーされた高分子型薬剤が長期(数週間)にわたり, その局所に留まること(retention)を意味している. 正常組織では, これら高分子や油滴はリンパ系により回収される. これに対して腫瘍組織では, それらは長期にわたり滞留する. その理由は, 固型腫瘍組織においてはリンパ系による高分子物質の回収が機能不全になっていることを示す. このことは, 腫瘍に選択的なデリバリーと同様に重要である.

引用: http://med.m-review.co.jp/magazine/detail1/J25_9_4_83-95.html

選択性も重要でありますが、加えて薬剤の効果を十分に発揮できるように、高分子を長期間留まらせることも可能とするようですね。

長期間の集積ががん細胞のみで可能であるならば、仮に正常細胞に薬剤が投下されていたとしても、その副作用は抑えることが可能かもしれません。

 

 

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選択的集積の効果について、同様の効果を利用した中性子捕捉療法の様な治療法もあり、私はこれについて参考文献をとってきて研究を行っていました。

中性子捕捉療法では、まずがん細胞への選択的集積性を有する薬剤を人体に投下し、NMR(MRI)で集積が確認された後に水分の多い人体を透過する中性子を照射してやることで運動エネルギーの大きなα粒子やリチウム原子を生成させ、選択的にがん細胞を破壊します。

この治療法に於いて、正常細胞に薬剤が集積することは必ず避けなければなりません。

それを考慮した薬剤が開発されるのは当たり前ですが、それでもわずかに正常細胞に取り込まれる可能性があるかもしれません。

ただ、上記のように長期間がん細胞に集積され、かつ正常細胞から排出されやすい薬剤が開発されれば、正常細胞を傷つけてしまう副作用の心配を限りなく減らすことが可能になるのではないかと考えられます。

高分子となると、これが通り抜け出来ない隔たりを有した細胞への治療は難しいのかもしれませんが、他の治療法と応用しあって、汎用性のある素晴らしい治療法が生まれていくことを期待しています。

 

 


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